設置後わずか3時間で3歳児、に見る「赤ちゃんポスト」問題

# 先に一言。書ききる前に、あほらしさもあってだれてしまって、後半端折ってます。
# さらに、別に他人に考えを押し付けるつもりはありません。たんなる日記ですから。


タイトルにも書いた、設置後すぐに、「想定外の」3歳児が預けられた件については、各紙夕刊やニュースサイト等を参照のこと。
で、この問題の難しいのは、


1)ポストに預けられる新生児側に立った場合
2)預けた親に対する社会的な立場から見た場合


で、個々人の中でも意見の摺り寄せが難しいとこにあると思う。
人によっては、ここに「預けざるを得なかった親の心情」を含めようとする向きもあるかもしれないが、私は、考えには断固として反対する。まずは、そこから考えて行こうと思う。
「経済的・社会的理由で子育てが難しい場合」という表現が良くなされるが、そもそも、明治大正ならいざ知らす、平成の日本において、本当に無理なケースは稀であろう。
そもそも、子育てが無理なら避妊するべきだし、計画性も避妊もなしに、安易にセックスすること自体が論外だと言える。
それでも、確率論的には事故は起こるし、生んでしまってから状況が急変したなどといった事例も、確かに存在するだろう。そういった場合の救済措置は、公的に、すでに存在する。もちろん、匿名ではない。子を委ねるにあたり、当然のこととして、(社会的な)責任・ペナルティを負うことになる。
今回の赤ちゃんポストの場合、基本的に匿名で置いていくことを想定している。一応ポスト内には手紙がおいてあり、「あとから思い直したら親だと名乗り出られるようになっている」(ゆえに子捨て助長には当たらない、らしい)という、実におめでたいシステムになっている。
こういう書き方をすると問題になりかねないが、親が小児科医であり、かつ私もよく手伝っていると実感することなのであえて書くと、若い世代、特に新成人前後から30手前までの「親」は、子を産むことに関して、自分の負担が増えるという面からしか見ていないケースが、かなり多い。つまり、生み出した一生命としての我が子への「責任」を重視していない。そこに、このような匿名性が、表面上だとはいえ確保されている「子捨て場」が設置されれば、どうなるか。やれやれである。


でまあ、背景がどうであれ、匿名で子を捨てにくる親は論外だと断じてしまった上で、先の1)、2)を見ていこう。
2)の社会的な問題については、先ほど述べた、「親は当然悪いよね」に立脚する、「そもそも安易に匿名で子を預けうる施設の設置は、それを助長するのではないか」「誰が子供のその後の人生に対し責任をとるんだ」といった、比較的子供側によった意見から、法制上の問題、倫理的問題、アンチフェミニズムまで、いろいろある。まあどうであれ、今後議論されていくことであろう。
で、1)の子供側に立った場合。
これが難しい。なんで難しいかといえば、答えは、子供1人1人によって異なるし、それが分かるのは、その子が成長し、人生を歩み、そして終えるそのときになるまで分からないから。
なんていうと感情論になっているとか言われるかもしれないが、つまり、子を捨てに行くことをまじめに検討するような性格 or 経済状況の親にそのまま育てられた場合、果たしてその子は幸せなのか。それとも、施設に預けられ、養子縁組・里親等の仕組みの中で育てられた子は、幸せなのか。
もちろん、仮に、捨てられた(aka 預けられた)子が、古典的表現で言うならば、「教会の前で発見される前に死亡していた」というような悲劇になるよりは、ポストなりで迅速に保護されたほうが、とりあえずは良い。
しかし、その際は当然、置いていく親の側に、絶対的な覚悟が求められると思う。教会の例えでいうなら、教会で保護された子はそのまま修道院行きだったそうな。あとで親が出てきても、面会すら許されない、そういった厳格さがあってこその、宗教的な教え・考え方の下での保護であろう。その点、この赤ちゃんポストは、あとで名乗り出てくることを期待していたりと、甘い。本当に考えた末での設置というよりも、関係者のヒロイックな行動・考え方が重きを占めているのではないかと危惧する。


あー長文でグダグダ書くのだれてきた・・・
まあつまりね、設置するしないにしても、もっと議論を尽くして、体制を整えてからにするべきだったんだよと言いたい。
どうも、マスコミにたいする反応などを見ていると、関係者のマスターベンションに過ぎないように思える。
病院やめて、教会でもやってればいいと思うよ。


# 追記 22:37
あーちゃんから聞かれたので、モデルとなったドイツの事例を簡単に。
東西ドイツの合併にともなう混乱期だかに、置き子が急増して、しかも凍死したりして、仕方なく設置したのが始まり。
日本とは事情がまーったく異なるわけです。詳しくは赤ちゃんポスト-wikipediaあたりへどーぞ。